2008年1月28日月曜日

”DEAN's Birthday ” Fiction Trivia 集

このFicは、DEANのお誕生日を機に、SUPERNATURAL、とりわけ、JOHNとDEANという特別な父子へのオマージュとして、作ったつもりです。
書き始めるに当たっては、私なりにもう一度、調査をしました。とくに、JOHNのこと。
DEANとSAMの兄弟がハンターになったのも、こうして二人でアメリカ中を旅して周ることになったのも、すべて理由は「JOHN」にあるのですが、彼のこと、エピソードの中で多くは語られていません。
今回は、調べたネタもと、参考資料等のTRIVIAを、ここに残そうと思います。maxyの覚書のようなものですが、よろしければ一緒に、面白がってください。


・Little DEAN WINCHESTER

←このフォトは、DEAN WINCHESTERを演じているJENSEN ACKLESの幼少時のもの。ファンサイトである『JENSEN ACKLES FAN』にアップされています。

SUPERNATURALの本エピソード中のパジャマDEANも、本当に可愛らしいです。が、私の頭には、SUPERNATURALのパイロットエピに出てきたDEANよりも、こっち(←)のほう(子供時代のJENSEN)が浮かんでしまうので、お話は、こちらのDEANのイメージで書いています。なので、「マッシュルームカット」などどいう表現が出てしまいました。

それにしても、JENSEN、おっこちそうに大きなお目目!この目に涙いっぱいためて泣かれたら、私、絶対に叱れません。なので、Ficの中でも、「DEANがお行儀悪い食べかたしているのに、あまりに可愛くて叱ることができない」という表現がでてしまいました。 ACKLESママは、こんなに可愛い息子のこと、どうやって躾したのでしょうか…。叱ったことなんて、あるのでしょうか?これ、今回のことには何の関係もないのですが、素朴な疑問です…。

さらに、JENSENって、本当は、ブロンドボーイなんですね…。

余談ですが、このチビDEANの言動は、エピソード中のDEANやノベライズ本に書かれていたことに加え、実際の男の子の言うことや行動を参考にしました。モデルになって助けてくれたのは、私のン十歳年下の友人、のん君です。彼は現在小学校の4年生。親しい友人の長男です。私には子育て経験がないので、DEANの台詞やJOHN、MARYの言動を考えるにあたっては、彼と一緒の時のやりとりを思い出して、使いました。 
とにかくこののん君は、ホントにナマイキ。私を呼び捨てにし、時には、「俺のいうことがきけねえのか?」なんて言う。でも、そんなふうに、自分をいっぱしのオトコだと思いこんでいるところが、ものすご~くカワユイ。で、叱ると、すぐに泣きます。 その特長も、DEANを描くモデルには、じつにピッタリでした。


・JOHN WINCHESTER

JOHNの年齢については、シーズン2第20話、『WHAT IS AND WHAT SHOULD NEVER BE』に出てきたJOHNの墓石に、1954年生まれとあったので、私はそれに従うことにしました。
なので、DEANが4歳だった1983年には、JOHNは29歳だということになります。けれども、JOHNの生まれ月がよくわからないので、DEANの誕生日の時点っでは、まだ28歳である可能性が高いです。

JOHN役のJEFFREY DEAN MORGAN(1966年4月22日生まれ)は、ドラマがスタートした時は39歳。実際のJOHNよりも、10歳ほど年上ですが、充分若若しかったです(画像は、FIC内のを参照してください)。

そして、ホントに20代だった頃のJEFFREY(↑)は、こ~んなにセクシー。JOHNパパも、20代は、さぞかしSEXYだったことでしょう。こんなパパですもの。タイプこそ違いますが、息子が二人共あんだけSEXYなのは、当たり前ですね。
そしてさらに、2年前のJEFFREYのプライベートショット(↓)昨今でも、充分HOTです!
ところで、Ficの中にもそのまま使わせていただいたのですが、JOHNは元海兵隊(US MARINE)の兵士 という設定です。

なので、ここで少し、海兵隊のことに触れます。なぜかと言うと、JOHNという人を描く上で、この「元海兵隊」ということは、大変重要なポイントだと思うからです。

アメリカ海兵隊とは、陸軍、海軍、空軍に次ぐ、アメリカの第4番目の軍で、上陸作戦・即応展開などを担当する精鋭部隊です。また、他の3軍と違って、議会の承認は必要なく、大統領の命令のみで作戦を実施できることから、アメリカの殴りこみ部隊として認識されており、また“大統領親衛隊”的性格を持つ部隊とみなされています。大統領専用ヘリの運用を行っているのも、この海兵隊です(以上、Wikipedia「海兵隊」より抜粋)。
さらに、ベトナム戦争(1959~1975)当時、アメリカでは徴兵制が実施されていましたが、この海兵隊だけは全員志願兵であり、現在でもすべての兵士が、志願して入隊しているのだそうです。

軍の標語は、ラテン語の "Semper fidelis"。英語ではAlways faithfulになり、直訳すれば「常に忠誠を」そして、モットーは、"The Few, The Proud." (誇り高き少数精鋭)また、 "Once a Marine, Always a Marine. "  といわれており、「一度海兵隊に入隊したなら、(退隊しようとも)、一生「海兵隊員」としての「誇り」を失わず、アメリカ国民の模範たれ」とされています(Wikipedia「アメリカ海兵隊」より抜粋)。

DEANによれば、JOHNの階級はCorporal (伍長)だったそう(シーズン2第9話『CROATOAN』 )。でも、Ficのお話の中のJOHNは、伍長より階級が上の、Sergeant (軍曹)DEAN(?)に、命令してます。

海兵隊の兵士を主人公にした映画といえば、最も有名なのは、スタンリー・キューブリック監督の。「フルメタルジャケット」最近では、クリント・イーストウッド監督の『父親達の星条旗』(予告編はこちらまた、ジェイク・ギレンホール主演の『ジャーヘッド』(予告編はこちらが、あります。

JOHNという人が、あんなにも武器の扱いと戦闘に精通していて、しかも息子達を見事な兵士に育て上げることのできた理由が、私自身、今回の調査によってやっとわかりました。 しかもJOHNは、「入隊したばかりでベトナム戦争に従軍」したというオトコです。もちろんこれは、maxyの勝手な設定ですが、ヤワなヤツなら新兵訓練で気が狂うこともある海兵隊(このあたりの悲劇は、「フルメタルジャケット」に描かれています)。タフでまっすぐで少し無茶なJOHNは、ここでますます鍛えられたのでしょう。そういえば、シーズン2第19話『FOLSOM PRISON BLUES』に出てきた看守は、戦闘中JOHNに命を救われたって言ってました…。


・MARY WINCHESTER

本当に美人の、MARYママ。落ち着きがあって上品で優しくて、本当にステキなママです…。演じているSAMANTHA SMITHさん、『トランスフォーマー』にも出てましたね。

JOHNは、このMARYとどこで知り合って、どんなふうにプロポーズしたのでしょう…?

MARYは、JOHNと同年の1954年、12月5日生まれですが、1983年11月2日に、デーモンによって惨殺されてしまいました。WINCHESTER家の3人の男たち(といっても、大人一人、幼児一人、乳児一人)の運命は、ここで激変します。
けれども、MARYの二人の息子達に対する愛は、本当に深いものでした。二人の息子DEANとSAMは、結局ママの愛によって、命を救われました。(シーズン1第9話『HOME』)。

DEANは確かに、ママ似な気がします。ママがいなくなったあと、あのママにそっくりな目の息子にジ~っと見つめられて、JONH、どんな気持ちだったのでしょうね…。MARYを思い出して、寂しくなったのでしょうか。それとも、DEANの目の中にMARYを見て、慰められていたのでしょうか…。


・ERIC少年

DEANをからかったERIC少年のモデルは、この人。SUPERNATURALの生みの親である、ERIC  KRIPKEです。マセガキ。口が達者。好奇心旺盛。でも、DEANのことをものすごく可愛がる。と、同時に、"DEANで"遊ぶ…。DEANも、ERICお兄ちゃんが大好きで、どんな悪戯されても、ついていきます。
今回は、悶着を原因を作った諸悪の根源ではあったけれど、出演もせず、あんまり活躍できませんでした。でも、無垢なDEANにいろんなことを吹き込む悪ガキ兄ちゃんとして、今後はしばしば、ご出演いただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか?
この次は、エリックお兄ちゃんに、どんな悪さ(?)してもらおうかな…。
できれば、DEANとちいさな喧嘩なんかさせてみたいですが…。もちろんやられちゃうのは、このエリックお兄ちゃんのほう! DEANは、父ちゃんに喧嘩のしかたを仕込まれてますから。でも、喧嘩のあとに、二人は一層仲良しになれると思います…。



・DEANの大好きキャラクター


DEANの食器は、スヌーピー柄です。理由は…私が好きだから…。それに、なんとなく、ちびちびDEANに似合いそうだったので。 ちなみに、アメリカのSNOOPY公式サイトは、こちら。ここにはいると、ステキなシーズングリーティングスをフリーダウンロードできます。
この(↑右)のスヌーピーも、その”グリーティングス群”から拝借してきました。
さらに、DEANのパジャマは、"C3POとR2D2のプリント"と設定。このキャラは、皆さんよくご存知の、『STAR WARS』レギュラーキャラ。性格の正反対の、デコボコ・ドロイド・コンビです。Fic中では、キョウさんが、挿絵のDEANのパジャマに、このコンビをシルエットにして描いてくださいました。皆さん、ちゃんと見てくださいましたか? キョウさん、こんな細かい部分まで、考えて描いてくださっていたんです!(Thanks!)
なお上左の画像は、アメリカのポスターの、ドロイド・コンビです。

・腫れ上がったのまぶた

泣きすぎて腫れ上がったDEANのまぶたを表現した、「ガーフィールド」とは、このデブネコです。あのカワイイDEANがこんなまぶたになっちゃうところ、正直に言うと見てみたいです…。
余談ですが、JAREDは一度、これにかなり近い寝坊まぶたのままで、JENSENと一緒の早朝インタビュー番組に出ちゃったことがあります。見たいですか? コレです
この時の二人、服装がそっくりなのも微笑ましいですね。
なお、ガーフィールドについて知りたいかたは、ここに入ってください。そうそう、DVDもありましたね!


・テディベアのジャレット

←(左)ちびちびDEANがいつも抱いて寝ているテディベア、こんな感じのでっかいベアを思っていたのですが…。で、そのイメージは、もちろん右のこの人!今回、出番が少ないので…。
でも、お話の進行中に、このベアはいつの間にかいなくなっちゃいましたね。maxyが、存在を忘れたのです。ゴメン。ジャレット! 多分、WINCHESTER家の床に転がったまんまだと思うのですが…。次の時は、存在を忘れないようにしますね。
このベアは、弟が来るまでは、DEANの唯一人の子分。弟が来ると、"2番目"に降格されます。で、ママが殺された夜、家が火事になった時、一緒に焼けてしまいました(もちろん、これはここでの設定)。そして、それからのDEANは、テディベアではなく、弟を抱いて眠ることになります…。


・1967 年型のCHEVY IMPALA

現在ではDEANの愛車(カノジョ?)であるこの車、この時点では父親JOHNの愛車です。でも、 DEVIL'S CHARIOT(=悪魔の戦車)というニックネームを持つ車がJOHNの愛車だったなんて…。
ともあれ、SUPERNATURALに登場するImpalaは、JOHNとDEANの二人がが優秀なメカニックであったが故に、こんなにハードに働いてもベストコンディションを保つことのできた、幸運なヴィンテージカーだと思います。 私自身は、車にはあまり興味がないのですが、この車のsexyさには惚れこんでしまっています。なんて、グラマラスなんでしょ! 声(排気音とエンジン音)も、いいんです…。走る姿も、あらためて見てみると、惚れ惚れします。さすが、DEANが「My Baby」と呼ぶ車だけのことはあります。 このクリップで見てください。唯一の欠点は、「ガソリンを撒き散らして走る」といわれてしまうほどの、燃費の悪さです。 ゴージャス美女が贅沢好きなのと、似てる? あ、でもImpalaは働き者! 下の音楽TRIVIAのAC/DCの曲も、映像はこのIMPALAへのオマージュです。


・JOHN loves LED ZEPPELIN!
 「IMMIGRANT SONG」&「FRIENDS」

DEANがImpalaでいたずらをしていて、間違えてプレイしてしまったこの2曲は、LED ZEPPELINの3枚目のアルバム「LED ZEPPELIN Ⅲ」の最初と2番目に入っています。
なにはともあれ、聴いてみてください。 「IMMIGRANT SONG」 (日本でのタイトルは、「移民の歌」)は、ここ。 「FRIENDS」 はここにあります。

ZEPPELINについては、前回のFicのTRIVIAで、少し解説をしました。興味のある方は、こちらに飛んでください。実は、「IMMIGRANT SONG」のリンクも、その時にも貼ってあります。
前回は、"天使からDEANへのクリスマスプレゼント"だったZEPPELINのアルバム。今回実はこれが、「パパの趣味」だった、ということにしてしまいました。

けれども今回のこの推測、当たらずとも遠からずじゃないかな…と思います。

自分の世代の音楽ではなく、上の世代の音楽が好きで傾倒している若者って、私の知っている限りではたいてい、パパやママの影響を強く受けてます。パパやママがそういう音楽のファンで、いつも聴いていたり歌っていたりしているので、子供は幼い頃から自然に、ひと世代前の音楽を聴くようになります。聴こうとしなくても耳にはいっているので、いつの間にか慣れ親しんで好きになる…。私の知り合いにも何人か、そういう男の子がいます…

なのでDEANも、JOHN父ちゃんと一緒にドライヴするときは、必ずZEPPERLINAC/DCALLMAN BROTHERS BANDCCRなんかを聴かされてたと推測するのですが…。さらにDEANは、パパが大大大好きなのですから、音楽面でも影響を受けないはずがありませんよね。

ZEPPELIN以外は、バンド名に曲リンク貼ります。時間があったら、父ちゃんの好きそうな曲(結局は、多分クリプキの好きな曲)、聴いてみてください。


2008年1月27日日曜日

Supernatural Fan Fiction DEAN’s Birthday そのⅡ:Presents



本当にパパが大好きなのに、パパみたいになろうと思うあまりに
結局パパを困らせてしまったDEAN。
息子のDEANが可愛くて可愛くてしかたがないのに、
どうしてあげたらいいのかわからなくて、戸惑うJOHN。
大好きで大好きで、だからこそ人って、互いに相手のことを思いすぎて、
うまくいかないときもあります。
この若くて愛情深いパパと、幼くて純真な息子も、そうでした…。でも……
お話の最後は、"現在"に戻ります。
そしてそこには、またもやキョウさん(KK journal)作の、ステキな兄弟が待ってます! 
必ず、彼らに、会って帰ってくださいね。



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DEAN's Birthday : そのⅡ PRESENTS



DEANは、ただ泣き続けた。

涙が枯れ、声が枯れても、DEANはひたすらJOHNにしがみついてしゃくりあげていた。途中でMARYが、DEANをJOHNから引き離して抱こうとしたが、JOHNはMARYの目を見つめて無言のまま首を横に振り、それを制した。しばらくすると、DEANは泣き疲れ、JOHNにしがみついたまま眠りにおちていた。

JOHNはそんなDEANを、静かに抱き続けていた。頬に涙の跡を残したままで眠ってしまった息子を、どうしても一人きりで寝かせることが出来なかった。JOHNはMARYにおやすみのキスをすると、彼女が運んでくれたブランケットを被り、DEANを抱いたまま、朝までソファで眠った。

翌朝、父親の腕の中で目を覚ましたDEANのまぶたは、すっかり腫れ上がっていた。当の本人も、自分の顔をバスルームの鏡で見たとたんに異変に気がついたらしく、バタバタと慌てふためいていて父親のもとへ戻ってきた。

「パパ、ぼく、めがへんになった。ガーフィールドみたいなかおになっちゃったよ! ねえ、ぼく、びょうきなの、ねえパパ、ぼく、びょうき?」

やれやれ。革ジャンのことは忘れてくれたのだろうか?

「大丈夫だよ、DEAN。きのう、たくさん泣いたから、目がはれちまったな」

「…うん。ぼく、ないた…」

「どうしてあんなに泣いたか、覚えてるか?」

「うん。かわじゃんくれないから。パパが…」

「DEAN、あの革ジャン、欲しいかい?」

「……うん……」

「どうしても欲しいか?」

「……う、うん……よくわかんなくなった…」

「DEANは、立派な男になりたいから、革ジャンが欲しいって言ったな、そうだろ?」

「そうだよ。エリックおにいちゃんが、そうおしえてくれたもん…」

「DEAN、パパから革ジャンをもらわなくても、立派な男になれるんだぞ」

「ほんと?…でも…」

「お爺ちゃんは、パパが大人になるまで、革ジャンなんか着ちゃいけないって言ってた。それでもパパは、ちゃんと一人前の男になった。違うか?」

「……」

DEANは、懸命に考えていた。パパが本当にお爺ちゃんから革ジャンをもらわなかったのなら、革ジャンは、立派な男になるための必需品ではないことになる…。

「でも、エリックおにいちゃんは、パパのかわジャンをきないと、いちにんまえのおとこになれないって…」

「そうか…」

エリックは、面白がってDEANをからかったのだろう。JOHNにはすでに察しがついていた。子供同士の他愛もない悪戯で、悪気があったわけではないに違いない。けれども、いま本当のことを、つまりエリックがDEANをからかったのだと言ってしまえば、エリックだけでなく、彼を慕っているDEANのことも、傷つけてしまうだろう…。

しばらく考えてから、JOHNは言った。

「DEAN、エリックお兄ちゃんはお前に、いつ、革ジャンを着てなきゃいけないか、教えてくれたか?」

「…いつ、かわじゃんをきてなきゃいけないのか…?…ううん、おしえてくれなかった…」

DEANは、幼いなりにも慎重に考えてから返事をした。

「それじゃあDEAN、今お前にパパの革ジャンをあげよう」

「ほんと? ほんとなの、パパ?」

JOHNの意外な答えに少し驚きながらも、DEANは飛び上がって喜んだ。

「ああ、ホントだ。そのかわり、毎日パパが仕事にでかける時間になったら、こんどはそれを、パパに返してくれるかい?」

「…まいにちパパに……、かえすの…、これ…?」

「そうだ。この革ジャンは、いまはDEANのものだ。そして、仕事に行く時にはパパのものだ。パパが帰ってきたら、またDEANに返す。つまりこれは、俺たち二人のものだ。DEANは、家の中ではこれを着ていてもいい。だが、外に行くときには、パパが着る。いいかい?」

「わかった!じゃあ、このかわじゃんは、いまはぼくのものだ、ぼくのものだね、パパ!」

「そうだよ、DEAN。それじゃあ、もう一度、お誕生日おめでとう!」

言い終わるとJOHNは、ピョンピョン飛び跳ねているDEANを捕まえて抱きしめ、その肩に、ずっしりと重たい革ジャンをかけてやった。

「どうだい、DEAN。一人前の男になった感想は…?」

大人になろうと必死の幼い男の子は、重たい革ジャンの袖に腕を通すのにひと苦労しながら、頬を上気させ、瞳をきらきら輝かせて、父親の口調を真似して答えた。

「パパ、おとこはたいへんだな。こんなおもたいものをきなくちゃいけないんだから…」

その時、キッチンに隠れて様子を見ていたMARYが、JOHNのコーヒーとDEANのミルクと二人分のピーナツバターサンドを持って、堪えきれずに笑いながら出てきた。

「DEAN、そのことはまだ、弟に話してはダメよ。彼が、男の子は大変だって思って、ママのおなかから出てこなくなるといけないから…」

「わかった。でも、もし、ちいさいおとうとがこわがっていたら、ぼくがだいじょうぶだっておしえてあげる!」

ちいさな兄は、胸を張り鼻孔をちょっとふくらませて、自慢げに言ってみせた。





その日DEANは、得意先を回って修理した車の状態をチェックしに行くというJOHNの愛車、impalaに乗って、父親の仕事先についていくことを許された。

一人前の男は、仕事のことも知っておかなくてはならない。ましてや、DEANはお兄ちゃんだ。弟と話せるようになったら、彼にも仕事のことを教えてあげる必要がある。

例の革ジャンは、いまはJOHNのものだった。だが、いま父親が着ている革ジャンが、実は父親と自分、二人のものになったという事実は、DEANをたまらなく誇らしい気分にさせてくれた。

けれども、Impalaの助手席に坐り、ただじっとJOHNの帰りを待っているのは、正直言って退屈そのものだった。そんなときにJOHNは、どいうわけか車のエンジンをかけっぱなしにしたまま知人の家を訪問しに行ってしまったのだ! すぐに戻ってくるつもりだったのだろう。車が大好きで、好奇心のカタマリのDEANが、こんなチャンスを見逃すはずはなかった。

父親が目の前から消えると、彼はこっそり、ワイパーを動かしたりライトをつけたり消したりして遊び始めた。いつも助手席に坐るせいで、DEANは父親の運転をしっかりと観察していたし、JOHNも、どこを触ると何が動くのか、そして、どこは決して触ってはいけないのかを、折に触れてちいさな息子に教えていた。けれども、カーステレオについては、DEANはまだまだ無知だった。よくわからないまま、カセットテープが外に飛び出てくるものだと信じてDEANが押したボタンは、実はテープのスタートボタンだった。

とたんに、スピーカーからは耳をつんざくような大音響、フルボリュームで、LED ZEPPELINの『IMMIGRANT SONG』、ロバート・プラントの野生の叫びが飛び出してきて、DEANに襲いっかかった。

DEANは、口から心臓が飛び出すかと思うほど驚いて、椅子から飛び上がった。

車の中で渦を巻く轟音のような音楽を、止めたくてもやりかたがわからない。さらに慌てたDEANは、とうとうパニックになっていて、気がつくと自分も、ヴォーカルのロバート以上の大声を張り上げて、泣き出していた。

車から少し離れた場所にいたJOHNが、大音響のZEPPELINと息子の大泣きする声のギグに気がついて駆けつけた時には、すでにロバートのシャウトは終わり、ギターのジミー・ペイジが、『FRIENDS』のアコースティックなイントロを演奏し始めていた。

DEANは、父親に謝ろうと思った。が、言葉が口から出てこなかった。だが、悪戯をしていた自分が父親に叱られるだろうということだけは、しっかりと覚悟していた。

けれども、JOHNはDEANを叱らず、カーステレオの音を止めると、笑いながらからかうような口調でたずねた。

「DEAN、この曲は好きか?」

衝撃が強すぎてまだ言葉が口から出てこないDEANは、頭を激しく左右に振って「NO」の意志を示した。

するとJOHNは、運転席に坐って、シートベルトを掛けながら、「パパは、大好きだ。この車を運転するには、ZEPの曲はピッタリなんだが…。まあ、まだDEANには、無理だろうな。大人の男の音楽だし…」と言って大笑いし、ZEPPELINのかわりに、CCRのテープを入れた。

結局、いま、あの時の『IMMIGRANT SONG』は"大人の男"となったDEANの最も好きな曲となり、あの時父親のカセットに録音されていた『ZEPPELIN Ⅲ』は、DEANの一番好きなアルバムとなった。



次々と切れ目なく湧き上がってくる記憶に圧倒されながら、DEANは、3杯目のブラックコーヒーをすすっていた。

空は晴れているのに、ちらほらと花びらのような雪が舞い始めた。

16歳の時、初めて狩りで魔物を倒した時に、父親はDEANに、この革ジャンをくれた。


けれど残念なことに、DEANは父親より大きくなることができなかった。DEANの骨格は、母親譲りだ。その体型は父親よりも華奢で、ひとまわり小さい。なので、父親から譲り受けたこの革ジャンは、DEANより少しサイズが大きく、肩幅も広かった。けれども、DEANはそれが好きだった。この、少し大きい革ジャンを着ていると、DEANはいつも父親に抱かれているような、JOHNがいつでも傍にいてくれるような、安らぎを感じることができたのだ。
3杯目のブラックコーヒーは、淹れたてらしいかった。香りがたっていて、て苦味にキレがある…。
俺の好みだ。

…そして、JOHNの好み…。

それにしても、本当に思い出の奔流に流されてしまいそうだ。今日はどうして、何もかも思い出すのだろう…。


と、突然、DEANの顔の前に、赤いマフラーの先端が降ってきた。

驚いて顔を上げると、目の前にはSAMが立っていて、赤いマフラーのフリンジをDEANの前でひらひらさせている。




「DEAN、一人でどっか行っちゃうんだもんな。探したぜ」



「ああ、お前、気持ち良さそうに寝てたから。…急に散歩したくなってさ…」

「DEANが僕より早起きして、散歩? なんか変だ」

SAMは、DEANがいつも「おぼっちゃまのお上品なお飲み物」とバカにする“ハーフ・カフェイン・ダブルバニラ・ラテ”のカップを手にしたまま、DEANの隣の椅子に腰掛けた。


「ところでさ、DEANは、今日って何の日か知ってるの?」

「なんだ? おまえがついに彼女見つけた日か?」

今度はちらちらとSAMを気にしているさっきの赤毛のウェイトレスを見ながら、DEANが皮肉った。

「あのねえ…。それじゃあ、今日は何月何日なのか、知ってる?」

「う~ん。多分1月の終わり頃だな。覚えてない…」

「1月24日だよ…」

「……ん?…もしかして…?」

「そう。その、もしかして、だよ! 忘れちゃダメだよ、DEAN。……誕生日オメデトウ…!」


DEANは、いままで、幼い頃の誕生日のことを思い出していながら、今日がその日、自分の誕生日だということはすっかり忘れていた。
SAMは、覚えていてくれた。…でも、嬉しいような、照れくさいような…奇妙な気分だ…。嬉しいのに、素直なお礼が口から出てこない…。

「…俺、なんて答えたらいいんだ? こんな小洒落たカフェで、しかも、ハーフなんとかラテ、なんていうお上品なお飲み物を召し上がるインテリの弟から、いきなり『お誕生日おめでとう』なんて言われちまって…」

「いつもの通りでいいよ。いつもの、あの皮肉…」

「ああ。どうせまた、墓場に一歩ちかづいただけだしな…」

二人は、声を揃えて笑った。


「でもさあ、DEAN、目が覚めたら寝坊のはずの兄貴がベッドにいなくて、それも、兄貴の誕生日の日。なんか、急に心配になっちゃってさ…」

「おいおい、俺が三十路前の憂鬱で自殺でもすると思ったか…?」

DEANは、妙なところで信心深い。自殺をした者は、決して天国へ帰ることができない―これだけは固く信じている。

「ははは、DEANに限って、自殺はないな。でも、なんかホッとした…。あ、湿っぽいのはゴメンだ、でしょ?」

あの時ママのおなかの中にいた弟は、いま、DEANを見下すほどに大きくなった。父親よりも、大きい。骨格が父親似なのだ。さらに、頭もいい。それは、誰に似たんだろう…?

「なあSAM、キャッチャーになる気ないか?」

「どうしたの、いきなり? …僕はサッカーのゴールキーパーのほうがいいけど…」

「いや、なんでもない。忘れてくれ」

「今日は変だぞ、兄貴」


本当におかしな気分だ。自分でもわかっている。なんだか、涙が出そうだ…。DEANは、目に入ったゴミを取るふりをして、手の甲で両目頭をこすり、涙の痕跡を抹消してから言った。

「うん。変だ…。…あ、SAM、雪、強くなってきたな…」

「ほんとだ…。ちょうどいいや。あのね、このマフラーは、DEANの誕生日にプレゼントしようと思って、持ってきたんだ」

「俺に?」

「うん…」

「でもさあ、僕も寒いから、二人で一緒に巻いて帰ろうよ!」

「お前なあ、俺達また、ゲイのカップルに間違われるだろうが…」

「どうせフロントのオバサンは、チェックインした時から僕たちのことゲイだと思ってるよ。なに思われても、風邪ひくよりいいって…。ね、DEAN」

こんなときのDEANの無言は、すなわち「YES」だった。


SAMが、自分が首に巻いていた長いマフラーの端を、そのままDEANの首にも巻きつけた。少し恥ずかしいのだが、DEANは抵抗しなかった。

あの時ママのお腹の中にいた弟と、二人で一緒にマフラー巻いて帰るなんて…。しかも、そいつが、俺より大きくなるなんて…。
妙な気分だったが、DEANは、なんだかママがどこかで見ていて、面白がって笑っているような気がした。

「おいSAM、俺の首、絞めるなよ!」


モーテルへ帰ったら、ビールでも飲みながら、あの日のこと、今日思い出したことすべて…SAMが生まれる前のことを、話してやろう…。


降り始めた綿雪はまるで、天上から二人への祝福のようだった。
鮮やかなレッドのマフラーを二人で巻いた兄弟は、子供の頃と同じように小突きあいながら、恥ずかしそうに、シアワセそうに、今度は揃って、来た道を引き返して行った。


予定より、アップが遅れてごめんなさい。そして、ここまでお付き合いくださった皆様、ありがとうございます。ここにいる、魅力的な兄弟はすべて、キョウさんの「KK jounal」から拉致(?)してまいりました。本家本元、覗いてみてください。いろいろな表情のDEANとSAMが、迎えてくれます。・登場人物のモデルやお話中のTRIVIAは、別ページで近々アップいたします。

2008年1月24日木曜日

Supernatural Fan Fiction DEAN’s Birthday そのⅠ :  Memories

DEAN WINCHESTERは、1979年1月24日生まれ。
今日が、29回目のお誕生日です。

20代最後のお誕生日を迎えるDEANへのお祝いにかえて、
DEANが子供の頃の、お誕生日のお話を書き始めました。

DEANが4歳になった日。MARYママのお腹の中には”弟”がいて、
ちいさなDEANは、いまから一生懸命、お兄ちゃんになろうとしているのですが…。

キョウさん(KK journal)が描いてくださった、ものすごくものすごく可愛い、
チビチビDEANも、登場します。

時間のない方は、ズズ~っとスクロール。
このチビチビDEANだけは、見て帰って下さい!




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DEAN's Birthday そのⅠ: MEMORIES


きっと、ママが、パンケーキを焼いている…。 フライパンの上で焦げかかっているバターの匂い…。ちいさなDEANは、ベッドの中でまどろみながら、その、おいしそうな匂いを吸い込んだ。 とたんに、胃袋がきゅるると泣いて、早く朝ごはんを食べようよと、DEANをせきたてた。


まだ、朝の6時だった。R2D2とC3POのが模様になっているお気に入りのパジャマを着たDEANは、まだ半分眠っていた。だが、一緒に寝ているカフェオレ色の大きなテディベアのジャレットを連れて、パンケーキの匂いに誘われるままに階段を降りた。


階下では、父親のJOHNがすでに朝食を食べ終え、ブラックコーヒーを片手に新聞のスポーツ欄を読んでいたが、自分の体の半分以上もあるぬいぐるみのベアを引きずりながら、DEANが階段を降りてきたのに気がつくと、すぐに新聞を置いて幼い息子のところに駆け寄り、縫いぐるみと息子を両方一緒に抱きあげた。


「おはよう、DEAN。昨日はどんな夢を見たんだい? 」

JOHNは、腕の中の息子にたずねた。


「きのうね、ぼく、ピッチャーになったの。あいてチームは、みんな、さんしんしたんだよ!」

まだ半分夢の中にいるDEANにとっては、その”夢” こそが現実そのものだ。JOHNも、そのことを良く知っていた。

「すごいぞ、DEAN。もうすぐ、パパのソフトボールチームでピッチャーになれるな! 今日からおまえは4歳だから…」

DEANは、目をまあるくした。どうやら、目が覚めてきたようだ。

「ぼく、きょうから、4さいなの?」

「そうだよ、DEAN。忘れたのかい? 今日はお前の誕生日だ」

「ほんと? おたんじょうび? ぼくは、きょう、うまれたの、パパ?」

「ああ、そうだ。お前は、4年前の今日、パパとママのところに来たんだよ。ハッピーバースデー、DEAN!」

「4さい、4さい、4さい、4さい! ぼくは、4さいになった!」


DEANは、マッシュルームカットの頭を上下に振りながらはしゃいだ。朝日を浴びてダークブロンドの光の糸のように見える髪が、そのリズムに合わせて揺れた。

「可愛い天才ピッチャーさん、お誕生日、おめでとう!」

そこへ、母親のMARYがやってきた。窓から差し込む光を背に、ゆるやかにカールしたブロンドの髪と花のような微笑を輝かせてキッチンを出てきた彼女は、焼きたてのパンケーキを盛ったスヌーピーの絵皿をテーブルに置くと、父親の腕からすり抜けて走り寄って来たDEANを抱きあげて、ピンク色に上気したその頬にキスをした。

「ママ、ちいさいおとうとは、げんき? ぼくのたんじょうびのこと、おとうとにも、おしえてあげる」


「そうね。ベイビーはとっても元気よ。きっとお兄ちゃんのお話を待ってるわ」

あと約3ヶ月で、WINCHESTER家にはもう一人の家族がやってくる。ドクターによれば、やって来るのはどうやら、DEANの弟らしい…。 DEANは、ふくらみが目立ち始めたMARYにお腹にキスをすると、その中に住んでいるはずの弟に向かって話しかけた。

「ちいさなおとうとくん、おはよう! きょうは、ぼくのおたんじょうびなんだよ。ぼくは、きょう、4さいになるんだ!4さいだよ!ねえ、きみはいつになったらでてくるの? ぼく、まってるの。でてきたら、キャッチャーになってほしいんだ…」

そしてDEANは、弟の返事を聞こうと、MARYのお腹に頬を寄せて耳を澄ました。


「…ママ、おとうとはまだ、おへんじができないの?」

「そうよ。まだ、ママのお腹の中にいるんですもの。あなたみたいにお話をすることはできないわ。 でも、お兄ちゃんのお話を、一生懸命聴いているわ、きっと」

MARYは、指先でやさしく、柔らかなDEANの髪をなでながら言った。

「さあ、パパのチームのピッチャーになるなら、ちゃんと朝ごはんを食べて大きくならないとね」






ホイップしたバターをのせ、メープルシロップをたっぷりかけた焼きたてのパンケーキは、ちいさなDEANの大好物だった。DEANは、小さいナイフとフォークを上手に使って自分でパンケーキを切り分けると、顎が外れるかと思うほど大きく口を開き、それらを一度に詰めこもうとした。

「DEAN、パンケーキは盗塁しないぞ。そんなに急いで捕まえなくても…」

「欲張らないで。喉につかえるわよ、ハニー」

JOHNとMARYは、パンケーキを頬張りすぎたDEANのほっぺたが、木の実を食べているシマリスのようにパンパンに膨らんでいる様子を目にして、声を揃えて笑った。

DEANは、食いしんぼうだ。好きなものを目の前にすると、次から次へと口に入れる癖がある。それは決してお行儀が良いとはいえない食べ方だし、直さなくてはいけないクセ…。確かにそうなのだが、DEANが嬉しそうに食べているその様子があまりにも可愛らしくて、JOHNとMARYはどうしても、DEANを叱ることができなかった。

一方DEANは、大マジメである。彼としては、どうしても早く、パパみたいに大きくならなくてはいけない。そのために口いっぱいパンケーキを頬張り、マグカップに注いでもらったミルクを流し込むように口にいれてそれを飲み込むと、口のまわりじゅうに白いミルクの髭をつけたままで両親に抗議した。

「だめだよ。もっといっぱいたべないと、パパみたいにおおきくなれないんだから!」


もうすぐ30代になるJOHNは、がっしりとした骨格で胸板も厚く、背丈は190センチに届いていた。いつも、ひとサイズ大きいTシャツかフランネルのシャツをゆったりと着ているのだが、捲り上げた袖からのぞく腕と首筋を見れば、彼が鍛え抜かれた身体の持ち主っであることは一目瞭然だった。

JOHNは、海兵隊に入隊したばかりの18歳で、混沌のベトナム戦争に従軍した筋金入りの兵士。歴戦のツワモノだった。いまはすでに退役し、友人達と共に車の修理工場を経営している。そして、その性格と仕事ぶりは実直そのものだった。けれども、彼のマロン色の瞳は血気盛んだが純真な少年のようで、一見いかつく無骨にみえるのだけれど、彼の醸し出している雰囲気には、いつもその胸に寄り添っていたくなるような、温かな包容力があった。

そしてJOHNは、世界中の何よりも、家族を愛していた。思いやりにあふれた美しい妻と、その妻に良く似た美しいヘイゼル色の瞳でいつも父親を見つめていて、そのすべてを真似ようとする息子こそ、彼にとって世界中で最も大切な宝物だった。そしてもちろんMARYも、誰よりも信頼できる人物であり、かつ悪戯小僧のようでもあるハンサムでチャーミングな夫を、心から愛していた。

DEANにとってのJOHNは、世界一のスーパーヒーロー。そのすべてが、憧れだった。 DEANは、パンケーキを食べ終わると同時に椅子から降りてちいさな胸を張ると、JOHNに向かって言った。

「ねえパパ、いつもみたいにして。かいへいたいみたいに、ぼくにめいれいして!」

「よし、わかった」

DEANは、父親から軍隊式に命令されるのが大好きで、じつによくその言いつけを守った。どうやら、父親から一兵士として扱われると、自分がすっかり成長した一人前の男になった気がするらしかった。

「WINCHESTER軍曹、これから、装備を点検し、着装にかかる。用意はいいか?」

「Yes sir!」

DEANは背筋を伸ばしてまっすぐに立つと、顎を少し上げ、JOHNに向かって敬礼をした。

そこにMARYが、その"装備"、DEANの着替えを持ってやって来た。

「さあ、"装備" を点検して、着替えてくださいね、ちいさな兵士さん」

「Yes sir!」

DEANは、MARYにも、海兵隊スタイルの敬礼をしてみせ、パジャマを脱いだ。MARYは、微笑みながら、DEANがお気に入りのほころびジーンズと黒いTシャツ、つまりパパとおそろいのスタイルに着替えるのを手伝った。





DEANの目の前のパンケーキは、もうすっかり冷えてしまっていた。

カフェのキッチンから漂ってくる、あの朝と同じ匂い。バターがフライパンの上で焦げかかる、あの匂いに惹かれて、DEANはここに入ってパンケーキを頼んだのだ。



ついでに、昔のことまで、思い出しちまった…。いままでは、ガキの頃のことなんか、思い出すこともなかったのに。



突然に蘇ってきた記憶のあまりの鮮明さに、DEANはとまどっていた。気持ちの収集がつきそうもない…。
ママ…。

DEANは、さっきからちらちらと彼のほうを見ている赤毛のウェイトレスにコーヒーのお替りを頼むと、冷めてしまったパンケーキにピッチャーの中のメープルシロップをすべてかけて、あの時と同じように、口いっぱいに頬ばった。

ママのパンケーキ、旨かったな。…そうか、SAMは食ったことないのか、ママのパンケーキ……。




DEANは、4歳の誕生日のプレゼントに、父親の革ジャンをもらえるはずだった。正確に言えば、もらえると思い込んでしまっていた。けれどもその夜、みんなから届けられたプレゼントをすべて開けても、あの革ジャンは入っていない。最後に、父親がくれた大きな包みを開けても…。

プレゼントをすべて開け終わっても少しも喜ばないDEANを見て、不思議に思ったMARYは尋ねた。

「DEAN、どうしたの? みんなあなたが欲しがっていたものばかりよ。ほら、インパラのミニカーも、パパが買ってくれた新しいグローブもあるのに…?」

「パパのかわじゃんがないもん…」

「パパの革ジャン?」

「そうだよ。ぼくは、パパのかわじゃんが、ほしいんだ…。ぼく、パパにいったでしょ? パパは、なんでもすきなものをあげるよ、っていったのに…」

JOHNとMARYは、顔を見合わせた。JOHNには、DEANとそんな約束をした記憶がなかった。だが、そのことは口にせずに、再びDEANに尋ねた。

「どうしてパパの革ジャンがほしいんだい?」

「……ぼくが…、ぼくが、おにいちゃんになるからだよ」

「お兄ちゃんになるから…?」

「そう。おとうとがくるまでに、ぼくは、りっぱなおにいちゃんになるんだ。それには、りっぱなおとこにならないといけないんだ!」

「そうなのかい?」

「そうだよ!」

「それとパパの革ジャンと、どういう関係があるんだ?」

DEANがあまりに真面目に「りっぱなおとこ」などと言うものだから、JOHNは思わず吹き出しそうになっていた。だが、笑い出してしまったらDEANは傷ついてしまうだろう。必死で笑いをかみ殺してから、JOHNはEANの瞳をじっと見つめて質問をした。

「…しらないの、パパ?」

「うん、パパは、知らない。何のことなのか、教えてくれるかい、DEAN?」

JONHが自分を対等に扱ってくれたので、DEANは少しだけ気を良くしていた。

「あのね、りっぱなおとこになるのはね、パパからかわじゃんもらって、それきれるようになるのがさいしょなんだ。おとこなら、みんなそうするって。パパも、おじいちゃんから、かわじゃんもらったんでしょ?」

「パパは知らなかったなぁ…。DEANは、誰に教えてもらったんだい?」

「エリックおにいちゃんが、おしえてくれたんだよ!」


5歳年上のエリック少年は、DEANに言った。

「DEAN、おまえは、弟が生まれるまでに立派なお兄ちゃんにならなきゃならない。しかも、立派なお兄ちゃんになるには、まず立派な男にならなきゃいけないんだ」

「ねえ、エリックおにいちゃん、ぼく、どうやったらりっぱなおとこになれるの?」

「まず、一週間後のお前の誕生日に、パパから革ジャンをもらう。そして、それを着れるように頑張るんだ。そしたら、立派な男になれるぞ」

DEANはエリック少年に吹き込まれ、すっかりその気になっていた。 要するに、DEANは、からかわれたのだ。

エリック少年は、まだ小学生のくせに20代の兄達と一緒に映画やコンサートを見に行く、いわゆる"マセガキ"だった。彼は、いかにも好奇心旺盛そうな目をした小柄な少年で、実際の年齢よりも少し幼く見えるのだが、いっぱしの大人のような口調で理路整然と話す。ヘタな大人なら、その早口の反論にやり込められてしまうほどの、利発な男の子だった。

DEANは、ジム牧師の日曜学校でエリック少年に面倒をみてもらっていた。普段は年少の男の子達を "オシメガキ" と呼んで嫌うエリックも、なぜかDEANのことだけは可愛がっていたので、DEANも彼のことを兄のように慕い、彼の言うことならなんでも素直に聞いた。

けれど今は、その理論家のエリック少年もここにはおらず、DEANのために父親を説得してくれる味方は誰もいない。もちろん、エリックがここにいて熱弁をふるったとしても、JOHNが、「パパから革ジャンをもらってそれを着たら、立派な一人前の男」などという根拠のない論理に同意するはずもなかった。


JOHNは、DEANとそんな約束をした覚えはないし、革ジャンは、いまの自分にとって必要なものだからDEANにあげるわけにはいかないと、言葉を選び、ゆっくりと優しく説明をした。けれどもDEANは納得しなかった。

「…パパは、ぼくになんでもくれるってやくそくしたのに、なんで、かわじゃんはダメなの? ぼくは、これがほしいのに……。パパは、くれるっていったのに…! パパなんか、パパなんか、だいきらいだ! パパのうそつき! 」

父親が決して願いを聞きいれてくれないと知るやいなや、とうとうDEANはぐずりだした。それでもJOHNは、黙ってじっとDEANを見つめていた。

ぐずっていても何の効果もない。しかし、そうとわかってもあきらめきれない幼いDEANは、熟しきったリンゴのような頬をして、本格的に泣きじゃくリ始めた。


「パパ…なんか…、だいきらいだ、…だい…きらいだ…!!!!! 」

DEANは、壊れたCDのように「パパなんか大嫌い」をくりかえした。

そのくせに、その大嫌いであるはずの父親の胸にしがみついたまま離れようとせず、しゃくりあげながら、JOHNの一番のお気に入りの深いグリーンと赤土色のチェックのシャツを、涙と鼻水でぐしょぐしょに濡らした。

……続く……




なお、今回も好みで入れた小ネタの数々については、TRIVIAの別ページでアップすることにしました。さらに、次のお話のアップ、1月26日になります。ごめんなさい! (1/25)




2008年1月2日水曜日

A Happy New Year !!!




A  HAPPY  NEW  YEAR !










SAM 「ねえDEAN、酔ってる?」 

DEAN 「お前は?」

SAM 「僕が質問したんだよ。答えてよ!」

DEAN 「酔ってるって言ったら?」

SAM 「新年の挨拶は、僕ひとりでやるよ!」

DEAN 「酔ってないって言ったら?」

SAM 「酔うまで飲ませるもん」

DEAN 「………」



…なんて会話が聞こえてきそうなキョウさんのイラストを拝借して、新年のご挨拶です。

昨年、この生まれたてのブログに来てくださり、さらにキョウさんとのコラボをみてくださった皆様、

本当にありがとうございました。


本年もどうぞよろしくお願いいたします。多分、気まぐれ更新ですけれど…。

じつは、上のイラストは、キョウさんがクリスマス用にアップされたものです。

でも、あんまりにもキュートなのと、シャンパン飲んでるおめでたい感じに惹かれて、

新年のご挨拶にに使わせていただきました。



ところで、このイラストには、「もうひとつの会話」ありました。
ただし、少々意味深。なので、そういうのが嫌いではないかただけ、反転してお読みください。↓

DEAN 「SAM、酔ったか?」

SAM 「DEANは?」

DEAN 「質問したのは、俺だぞ」

SAM 「酔った、って言ったら?」

DEAN「お前をベッドで寝かしつけてやる」

SAM 「それじゃあ、酔ってない、って言ったら?」

DEAN 「酔うまで、飲ませる…」

SAM  「…もうとっくに酔ってるよ、DEAN…」

この、シャンパン片手の兄弟には、このBGM。いかがでしょう?

たぶん、お互いがお互いにとって、こうではないかと……。

本年も、どうぞよろしくお願い致します。
・ところで、もうひとつのブログにも、この会話に続くDEANとSAMの新年のご挨拶があります。
よろしければ、こちらにもどうぞ!


♪手塩にかけて育てた兄弟を出演させてくださったキョウさんに、心から感謝します。なお、今後も、キョウさんのイラストを中心にした短いお話を、少しずつアップしていくつもりです。
よろしければ、お付き合いください。