2008年1月27日日曜日

Supernatural Fan Fiction DEAN’s Birthday そのⅡ:Presents



本当にパパが大好きなのに、パパみたいになろうと思うあまりに
結局パパを困らせてしまったDEAN。
息子のDEANが可愛くて可愛くてしかたがないのに、
どうしてあげたらいいのかわからなくて、戸惑うJOHN。
大好きで大好きで、だからこそ人って、互いに相手のことを思いすぎて、
うまくいかないときもあります。
この若くて愛情深いパパと、幼くて純真な息子も、そうでした…。でも……
お話の最後は、"現在"に戻ります。
そしてそこには、またもやキョウさん(KK journal)作の、ステキな兄弟が待ってます! 
必ず、彼らに、会って帰ってくださいね。



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DEAN's Birthday : そのⅡ PRESENTS



DEANは、ただ泣き続けた。

涙が枯れ、声が枯れても、DEANはひたすらJOHNにしがみついてしゃくりあげていた。途中でMARYが、DEANをJOHNから引き離して抱こうとしたが、JOHNはMARYの目を見つめて無言のまま首を横に振り、それを制した。しばらくすると、DEANは泣き疲れ、JOHNにしがみついたまま眠りにおちていた。

JOHNはそんなDEANを、静かに抱き続けていた。頬に涙の跡を残したままで眠ってしまった息子を、どうしても一人きりで寝かせることが出来なかった。JOHNはMARYにおやすみのキスをすると、彼女が運んでくれたブランケットを被り、DEANを抱いたまま、朝までソファで眠った。

翌朝、父親の腕の中で目を覚ましたDEANのまぶたは、すっかり腫れ上がっていた。当の本人も、自分の顔をバスルームの鏡で見たとたんに異変に気がついたらしく、バタバタと慌てふためいていて父親のもとへ戻ってきた。

「パパ、ぼく、めがへんになった。ガーフィールドみたいなかおになっちゃったよ! ねえ、ぼく、びょうきなの、ねえパパ、ぼく、びょうき?」

やれやれ。革ジャンのことは忘れてくれたのだろうか?

「大丈夫だよ、DEAN。きのう、たくさん泣いたから、目がはれちまったな」

「…うん。ぼく、ないた…」

「どうしてあんなに泣いたか、覚えてるか?」

「うん。かわじゃんくれないから。パパが…」

「DEAN、あの革ジャン、欲しいかい?」

「……うん……」

「どうしても欲しいか?」

「……う、うん……よくわかんなくなった…」

「DEANは、立派な男になりたいから、革ジャンが欲しいって言ったな、そうだろ?」

「そうだよ。エリックおにいちゃんが、そうおしえてくれたもん…」

「DEAN、パパから革ジャンをもらわなくても、立派な男になれるんだぞ」

「ほんと?…でも…」

「お爺ちゃんは、パパが大人になるまで、革ジャンなんか着ちゃいけないって言ってた。それでもパパは、ちゃんと一人前の男になった。違うか?」

「……」

DEANは、懸命に考えていた。パパが本当にお爺ちゃんから革ジャンをもらわなかったのなら、革ジャンは、立派な男になるための必需品ではないことになる…。

「でも、エリックおにいちゃんは、パパのかわジャンをきないと、いちにんまえのおとこになれないって…」

「そうか…」

エリックは、面白がってDEANをからかったのだろう。JOHNにはすでに察しがついていた。子供同士の他愛もない悪戯で、悪気があったわけではないに違いない。けれども、いま本当のことを、つまりエリックがDEANをからかったのだと言ってしまえば、エリックだけでなく、彼を慕っているDEANのことも、傷つけてしまうだろう…。

しばらく考えてから、JOHNは言った。

「DEAN、エリックお兄ちゃんはお前に、いつ、革ジャンを着てなきゃいけないか、教えてくれたか?」

「…いつ、かわじゃんをきてなきゃいけないのか…?…ううん、おしえてくれなかった…」

DEANは、幼いなりにも慎重に考えてから返事をした。

「それじゃあDEAN、今お前にパパの革ジャンをあげよう」

「ほんと? ほんとなの、パパ?」

JOHNの意外な答えに少し驚きながらも、DEANは飛び上がって喜んだ。

「ああ、ホントだ。そのかわり、毎日パパが仕事にでかける時間になったら、こんどはそれを、パパに返してくれるかい?」

「…まいにちパパに……、かえすの…、これ…?」

「そうだ。この革ジャンは、いまはDEANのものだ。そして、仕事に行く時にはパパのものだ。パパが帰ってきたら、またDEANに返す。つまりこれは、俺たち二人のものだ。DEANは、家の中ではこれを着ていてもいい。だが、外に行くときには、パパが着る。いいかい?」

「わかった!じゃあ、このかわじゃんは、いまはぼくのものだ、ぼくのものだね、パパ!」

「そうだよ、DEAN。それじゃあ、もう一度、お誕生日おめでとう!」

言い終わるとJOHNは、ピョンピョン飛び跳ねているDEANを捕まえて抱きしめ、その肩に、ずっしりと重たい革ジャンをかけてやった。

「どうだい、DEAN。一人前の男になった感想は…?」

大人になろうと必死の幼い男の子は、重たい革ジャンの袖に腕を通すのにひと苦労しながら、頬を上気させ、瞳をきらきら輝かせて、父親の口調を真似して答えた。

「パパ、おとこはたいへんだな。こんなおもたいものをきなくちゃいけないんだから…」

その時、キッチンに隠れて様子を見ていたMARYが、JOHNのコーヒーとDEANのミルクと二人分のピーナツバターサンドを持って、堪えきれずに笑いながら出てきた。

「DEAN、そのことはまだ、弟に話してはダメよ。彼が、男の子は大変だって思って、ママのおなかから出てこなくなるといけないから…」

「わかった。でも、もし、ちいさいおとうとがこわがっていたら、ぼくがだいじょうぶだっておしえてあげる!」

ちいさな兄は、胸を張り鼻孔をちょっとふくらませて、自慢げに言ってみせた。





その日DEANは、得意先を回って修理した車の状態をチェックしに行くというJOHNの愛車、impalaに乗って、父親の仕事先についていくことを許された。

一人前の男は、仕事のことも知っておかなくてはならない。ましてや、DEANはお兄ちゃんだ。弟と話せるようになったら、彼にも仕事のことを教えてあげる必要がある。

例の革ジャンは、いまはJOHNのものだった。だが、いま父親が着ている革ジャンが、実は父親と自分、二人のものになったという事実は、DEANをたまらなく誇らしい気分にさせてくれた。

けれども、Impalaの助手席に坐り、ただじっとJOHNの帰りを待っているのは、正直言って退屈そのものだった。そんなときにJOHNは、どいうわけか車のエンジンをかけっぱなしにしたまま知人の家を訪問しに行ってしまったのだ! すぐに戻ってくるつもりだったのだろう。車が大好きで、好奇心のカタマリのDEANが、こんなチャンスを見逃すはずはなかった。

父親が目の前から消えると、彼はこっそり、ワイパーを動かしたりライトをつけたり消したりして遊び始めた。いつも助手席に坐るせいで、DEANは父親の運転をしっかりと観察していたし、JOHNも、どこを触ると何が動くのか、そして、どこは決して触ってはいけないのかを、折に触れてちいさな息子に教えていた。けれども、カーステレオについては、DEANはまだまだ無知だった。よくわからないまま、カセットテープが外に飛び出てくるものだと信じてDEANが押したボタンは、実はテープのスタートボタンだった。

とたんに、スピーカーからは耳をつんざくような大音響、フルボリュームで、LED ZEPPELINの『IMMIGRANT SONG』、ロバート・プラントの野生の叫びが飛び出してきて、DEANに襲いっかかった。

DEANは、口から心臓が飛び出すかと思うほど驚いて、椅子から飛び上がった。

車の中で渦を巻く轟音のような音楽を、止めたくてもやりかたがわからない。さらに慌てたDEANは、とうとうパニックになっていて、気がつくと自分も、ヴォーカルのロバート以上の大声を張り上げて、泣き出していた。

車から少し離れた場所にいたJOHNが、大音響のZEPPELINと息子の大泣きする声のギグに気がついて駆けつけた時には、すでにロバートのシャウトは終わり、ギターのジミー・ペイジが、『FRIENDS』のアコースティックなイントロを演奏し始めていた。

DEANは、父親に謝ろうと思った。が、言葉が口から出てこなかった。だが、悪戯をしていた自分が父親に叱られるだろうということだけは、しっかりと覚悟していた。

けれども、JOHNはDEANを叱らず、カーステレオの音を止めると、笑いながらからかうような口調でたずねた。

「DEAN、この曲は好きか?」

衝撃が強すぎてまだ言葉が口から出てこないDEANは、頭を激しく左右に振って「NO」の意志を示した。

するとJOHNは、運転席に坐って、シートベルトを掛けながら、「パパは、大好きだ。この車を運転するには、ZEPの曲はピッタリなんだが…。まあ、まだDEANには、無理だろうな。大人の男の音楽だし…」と言って大笑いし、ZEPPELINのかわりに、CCRのテープを入れた。

結局、いま、あの時の『IMMIGRANT SONG』は"大人の男"となったDEANの最も好きな曲となり、あの時父親のカセットに録音されていた『ZEPPELIN Ⅲ』は、DEANの一番好きなアルバムとなった。



次々と切れ目なく湧き上がってくる記憶に圧倒されながら、DEANは、3杯目のブラックコーヒーをすすっていた。

空は晴れているのに、ちらほらと花びらのような雪が舞い始めた。

16歳の時、初めて狩りで魔物を倒した時に、父親はDEANに、この革ジャンをくれた。


けれど残念なことに、DEANは父親より大きくなることができなかった。DEANの骨格は、母親譲りだ。その体型は父親よりも華奢で、ひとまわり小さい。なので、父親から譲り受けたこの革ジャンは、DEANより少しサイズが大きく、肩幅も広かった。けれども、DEANはそれが好きだった。この、少し大きい革ジャンを着ていると、DEANはいつも父親に抱かれているような、JOHNがいつでも傍にいてくれるような、安らぎを感じることができたのだ。
3杯目のブラックコーヒーは、淹れたてらしいかった。香りがたっていて、て苦味にキレがある…。
俺の好みだ。

…そして、JOHNの好み…。

それにしても、本当に思い出の奔流に流されてしまいそうだ。今日はどうして、何もかも思い出すのだろう…。


と、突然、DEANの顔の前に、赤いマフラーの先端が降ってきた。

驚いて顔を上げると、目の前にはSAMが立っていて、赤いマフラーのフリンジをDEANの前でひらひらさせている。




「DEAN、一人でどっか行っちゃうんだもんな。探したぜ」



「ああ、お前、気持ち良さそうに寝てたから。…急に散歩したくなってさ…」

「DEANが僕より早起きして、散歩? なんか変だ」

SAMは、DEANがいつも「おぼっちゃまのお上品なお飲み物」とバカにする“ハーフ・カフェイン・ダブルバニラ・ラテ”のカップを手にしたまま、DEANの隣の椅子に腰掛けた。


「ところでさ、DEANは、今日って何の日か知ってるの?」

「なんだ? おまえがついに彼女見つけた日か?」

今度はちらちらとSAMを気にしているさっきの赤毛のウェイトレスを見ながら、DEANが皮肉った。

「あのねえ…。それじゃあ、今日は何月何日なのか、知ってる?」

「う~ん。多分1月の終わり頃だな。覚えてない…」

「1月24日だよ…」

「……ん?…もしかして…?」

「そう。その、もしかして、だよ! 忘れちゃダメだよ、DEAN。……誕生日オメデトウ…!」


DEANは、いままで、幼い頃の誕生日のことを思い出していながら、今日がその日、自分の誕生日だということはすっかり忘れていた。
SAMは、覚えていてくれた。…でも、嬉しいような、照れくさいような…奇妙な気分だ…。嬉しいのに、素直なお礼が口から出てこない…。

「…俺、なんて答えたらいいんだ? こんな小洒落たカフェで、しかも、ハーフなんとかラテ、なんていうお上品なお飲み物を召し上がるインテリの弟から、いきなり『お誕生日おめでとう』なんて言われちまって…」

「いつもの通りでいいよ。いつもの、あの皮肉…」

「ああ。どうせまた、墓場に一歩ちかづいただけだしな…」

二人は、声を揃えて笑った。


「でもさあ、DEAN、目が覚めたら寝坊のはずの兄貴がベッドにいなくて、それも、兄貴の誕生日の日。なんか、急に心配になっちゃってさ…」

「おいおい、俺が三十路前の憂鬱で自殺でもすると思ったか…?」

DEANは、妙なところで信心深い。自殺をした者は、決して天国へ帰ることができない―これだけは固く信じている。

「ははは、DEANに限って、自殺はないな。でも、なんかホッとした…。あ、湿っぽいのはゴメンだ、でしょ?」

あの時ママのおなかの中にいた弟は、いま、DEANを見下すほどに大きくなった。父親よりも、大きい。骨格が父親似なのだ。さらに、頭もいい。それは、誰に似たんだろう…?

「なあSAM、キャッチャーになる気ないか?」

「どうしたの、いきなり? …僕はサッカーのゴールキーパーのほうがいいけど…」

「いや、なんでもない。忘れてくれ」

「今日は変だぞ、兄貴」


本当におかしな気分だ。自分でもわかっている。なんだか、涙が出そうだ…。DEANは、目に入ったゴミを取るふりをして、手の甲で両目頭をこすり、涙の痕跡を抹消してから言った。

「うん。変だ…。…あ、SAM、雪、強くなってきたな…」

「ほんとだ…。ちょうどいいや。あのね、このマフラーは、DEANの誕生日にプレゼントしようと思って、持ってきたんだ」

「俺に?」

「うん…」

「でもさあ、僕も寒いから、二人で一緒に巻いて帰ろうよ!」

「お前なあ、俺達また、ゲイのカップルに間違われるだろうが…」

「どうせフロントのオバサンは、チェックインした時から僕たちのことゲイだと思ってるよ。なに思われても、風邪ひくよりいいって…。ね、DEAN」

こんなときのDEANの無言は、すなわち「YES」だった。


SAMが、自分が首に巻いていた長いマフラーの端を、そのままDEANの首にも巻きつけた。少し恥ずかしいのだが、DEANは抵抗しなかった。

あの時ママのお腹の中にいた弟と、二人で一緒にマフラー巻いて帰るなんて…。しかも、そいつが、俺より大きくなるなんて…。
妙な気分だったが、DEANは、なんだかママがどこかで見ていて、面白がって笑っているような気がした。

「おいSAM、俺の首、絞めるなよ!」


モーテルへ帰ったら、ビールでも飲みながら、あの日のこと、今日思い出したことすべて…SAMが生まれる前のことを、話してやろう…。


降り始めた綿雪はまるで、天上から二人への祝福のようだった。
鮮やかなレッドのマフラーを二人で巻いた兄弟は、子供の頃と同じように小突きあいながら、恥ずかしそうに、シアワセそうに、今度は揃って、来た道を引き返して行った。


予定より、アップが遅れてごめんなさい。そして、ここまでお付き合いくださった皆様、ありがとうございます。ここにいる、魅力的な兄弟はすべて、キョウさんの「KK jounal」から拉致(?)してまいりました。本家本元、覗いてみてください。いろいろな表情のDEANとSAMが、迎えてくれます。・登場人物のモデルやお話中のTRIVIAは、別ページで近々アップいたします。

4 コメント:

Zion さんのコメント...

maxyさん、こんにちは。
読ませていただきましたよ~。
ちっちゃなディーンが可愛かったですvv

私は今回のBDを華麗にスルーしましたが(笑)、maxyさんの所ではBDに限らずいろいろな企画物(と言ってもいいのでしょうか?)があって、毎回凄いな~って感心しています。(ficを書けるっていう所も凄いデス・・・)
これからも、素敵な企画を楽しみにしていますネ!

maxy494 さんのコメント...

zion様。
こんにちは。お読みいただき、ありがとうございます。私の頭の中の空想の世界に住んでいるDEANを、書かせていただきました。
企画モノという意識は全くなかったのですが、世の中ではこういうのを、企画モノと言うのですか? でも、私のはレベル低いですよね。ははは。

理由はわからないのですが、この兄弟を筆頭に、好きなモノを見てると、ソレで遊びたくなっちゃうんです。理由を探しては遊ぼうとしますので、BD等をスルーできない! 華麗にスルーのzionさん、COOLでカッコいいですね。

迷惑なのは、遊びの材料のされた本人達と、読まされる皆さんかもしれませんね。ゴメン。でも、多分また続けます。楽しみにしていただけて、シアワセです。感謝!

Ke-ke さんのコメント...

Deanの皮ジャンは父ちゃんのお下がりだったのか~!そういえば、ちょっと大きいような…(笑)成長の過程での、かわいい息子を納得させるための、親のどうしても通らなければならない嬉しい苦悩。Deanと共に思い出してしまった私です。(歳がバレる!)
ラストは期待どおり♪キョウさんのイラストの二人が更に妄想を掻き立ててくれますね。
素敵なお話、ありがとうございました。

maxy494 さんのコメント...

ke-ke様。
そうですか…。ke-keさんは、父ちゃん同様の苦悩を抜けてこられたのですね。私は、想像で書いているだけなので、洞察甘いです。
が、ちびちびDEANを書いたお陰で、少しだけ子育て気分を味わうことができました♪そして、調べて書いている過程で、ますます父ちゃんが好きになりました!

ラスト、期待通りでした?
キョウさんのお陰です。

読んで下さる方を感じることができるって、本当に嬉しいです! 来てくださっただけでなく、コメント残してくださり、本当に本当に、ありがとうございます。